初めてのビデオスロットは、1970年代後半、ちょうどビデオゲームが産業として華々しく
発展していた時期に登場し、最先端のハイテクノロジーを駆使したゲーム機として注目を
集めました。しかし、画面にメッセージが表示できるなど多少の付加価値はあったものの、
本質的には従来のリールマシンのリール部分をビデオ化したに留まるものであったため、
しだいに廃れていきます。またリールマシンにはステッピングモーターが導入されて
一段と射幸心の高いゲームが提供されるようになった事もあって、一部の市場を除いては
あまり顧みられることはなくなります。
しかし、2000年前後頃になると、コンピュータ技術も格段に向上し、高度なコンピュータ
グラフィック表現を用いたボーナスゲームなど、ゲームの魅力を高めるフィーチャーに
その能力が発揮されるようになって人気が高まり、カジノを席巻するまでになりました。
またビデオスロットは、リールマシンでは無理があるようなペイラインの設定などでも、
グラフィックによる自由度の高い表現力で克服できるとして、1回のゲームによりたくさん
のお金をかけることが出来るような作りにし易かったという点も、現在の隆盛を見る
要因の一つと言えます。
プログレッシブジャックポット
大当たりのことを一般に「ジャックポット(JACKPOT)」と呼びますが、中でも賭け金の
一定の割合を特定の当たり役の配当に加算する事で賞金を増加させるシステムを
「プログレッシブジャックポット」と呼び、通常の大当たりとは区別してプレーヤーに
対するより強いインセンティブとしてアピールされます。これはスロットマシンには
馴染み易いフィーチャーで、1960年代には既に取り入れられているリールマシンが
出現しています。プログレッシブジャックポットには、以下のタイプがあります。
1.設置されたマシン単体で賞金が積み上げられる「スタンドアロン」
2.単一カジノ内の同種マシンで一つのプログレッシブジャックポットを
共有する「リンクド・プログレッシブ」
3.複数のカジノを跨ぐ同種マシンで一つのプログレッシブジャックポットを
共有する「ワイドエリア・プログレッシブ」
4.リンクド・プログレッシブの変形で、ゲームの結果によらず、いつ、誰に、
どんなタイミングで当たるかわからない「ミステリー・ジャックポット」
これらのうち、「ワイドエリア・プログレッシブ」は、バーチャルリールとステッピング
モーターの導入によって膨大な組み合わせ数を作ることが可能となったからこそ実現
できたもので、当選賞金の世界記録を更新するなどでときおり一般にも報道されることも
あり、現代のスロットマシンを象徴するフィーチャーの一つと言えます。
なお、「ジャックポット」という言葉を、「プログレッシブジャックポット」の同義語の
ように用いる混乱が、一般マスコミで散見されました。必ずしも誤りとは言えない場合も
ありますが、プログレッシブ・ジャックポット以外は、ジャックポットとは呼ばないかの
ような誤解を与えかねない用法には注意すべきです。